弊社では、お客様からのお困りごとをヒアリングさせていただき、基板設計から 開発・納品までワンストップでの対応をさせていただきます。
プロ野球中継における、ラジオ局のリモートプロダクション運用
【導入事例】 Airfolc RA-5010 : 放送局様
多チャンネル音声伝送と強固な冗長化により、高品質な遠隔番組制作と機材・人員の効率化を両立。
| 導入先 | 東北地方の放送局 |
| 製品 | RA-5010 2対向(本線・予備) |
| 用途 | スタジアム(プロ野球中継)と放送局(受けスタジオ)間を結ぶ、小規模リモートプロダクション |
| 使用チャンネル数 | 音声信号10ch + 連絡線用 1ch |
| 運用方法 | 本線 双方向AES/EBU伝送(デジタルメイン、各素材、SE) 予備 Mixの予備 |
導入の背景と課題
削ったのはコストと手間、現場を身軽に。増やしたのは放送のクオリティ
従来のスポーツ中継、特にプロ野球中継においては、スタジアム側に中継車や多くの機材、運用スタッフを配置する必要があり、コストや設営リソースの確保が課題となっています。
また、実況や解説だけでなく、スタジアム全体の臨場感を伝えるための各種音声素材(場内アナウンス、応援音、各種効果音など)を個別に、かつ低遅延で放送局へ伝送し、局側のマスターや受けスタジオ側で緻密にコントロールできる環境が求められていました。
システム概要・運用方法
本運用では、スタジアム側と受けスタジオ側にそれぞれ「Airfolc RA-5010」を設置。NTTの光回線(HGW)を介し、リモートプロダクションシステムを構築しています。
上段の1台を「本線(デジタル伝送)」、下段の1台を「予備(アナログ伝送)」として配置し、万が一の回線トラブルにも対応できる強固な冗長性を確保しています。
1. 本線(デジタル伝送)の運用
本線では、RA-5010の強みである最大10chの多チャンネル伝送と双方向通信を最大限に活用しています。D-Sub AES入出力を中心に、以下の信号を完全に独立して伝送しています。
- スタジアムから局への送信(音声信号 計10ch分を割り当て)
- 実況アナウンサー / 解説者の音声
- スタジアム場内音声(球団分配IS / PA / ウグイス嬢のアナウンス)
- 各種PC効果音、ユニSEマイク(場内効果音)
- 局からスタジアムへの返し(MAIN OUTPUT)
- N-1(プログラム音から当該拠点の音声を引いたもの:BGM等)
- ON AIR(実際の放送波)
- 連絡線(1ch)
- 制作・技術スタッフ間の円滑なコミュニケーションを支える連絡線(打ち合わせ)を双方向で確保。
2. 予備線(アナログ伝送)の運用
万が一、光回線の本線系統に障害が発生した場合に備え、下段のRA-5010によるバックアップ系統を常時構築しています。
- アナログ伝送: スタジアム側でミックスされた予備音声(Mix予備)と連絡線を、別系統の光回線(HGW②)を通じてアナログ伝送します。
- 緊急回線: さらに、バックアップのバックアップとして、携帯電話網を活用した緊急回線も用意されており、放送事故を絶対に防ぐ堅牢なシステムとなっています。
導入のポイント・メリット
- 10ch多チャンネル伝送による高品質・独立音量管理
実況・解説の音声だけでなく、スタジアムの場内アナウンスや効果音(SE)をそれぞれ別チャンネルで独立して伝送。放送局の受けスタジオ側で個別に音量バランスをミックス・管理できるため、現地に大型中継車を仕立てるのと同等以上の、臨場感あふれる高品質な放送制作が可能になりました。
- スタッフ間の円滑なコミュニケーション(連絡線)
音声信号用とは別に、連絡線(打ち合わせ)専用のチャンネル(1ch)を確実に確保。スタジアムと放送局間でタイムラグのないスムーズな指示出し・連携が可能となり、リモートプロダクションにおける「離れた場所での運用のやりづらさ」を解消しています。
- 本線・予備の2台構成による絶対的な安心感
放送局としての厳しい安全基準を満たすため、同一機材を2台配置。デジタル(本線)とアナログ(予備)という異なる伝送方式を組み合わせることで、回線トラブル時にも放送を中断させることのない、極めて高い信頼性を実現しました。
人員確保が難しいような小規模な現場において、ひかり電話回線やVPNなどの安定したインフラを最大限に活用し、ミニマムな体制でも安全かつ効率の高いリモートプロダクションを確立できるRA-5010は、今の現場に求められる最適な製品です。
システム設置写真
【機材ラック前面】


上段がデジタル本線、下段がアナログ予備として運用されているAirfolc RA-5010。明確に色分けされた同軸ケーブルが配線され、各チャンネルのステータスが前面液晶で一目で確認できます。
【機材ラック背面・配線】

D-Sub AESデジタル入力や、各種アナログ入出力、ネットワーク(LAN/HGW)への配線が整然と行われており、多チャンネル通信を安定して支える確実な接続がなされています。
【放送局 受けスタジオの様子】

スタジアムから伝送された多チャンネル音声は、このミキシングコンソールへと立ち上げられます。現地に多くのスタッフを派遣することなく、局内の快適な環境からクオリティの高いプロ野球中継番組が送り出すことが出来ました。